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2025.08.05

むしろ(筵)・こも(菰)と、温暖化

日本では、古くより 屋外用の敷物として 筵(むしろ)や 菰(こも)が活用されてきました。

時代劇で どざえもんが上がったときに敷かれている、あれです。

  

筵(むしろ)とは、稲わらや麦わらなどイネ科のわらを編んで作った敷物で、初詣の際など神社の石段や参道に敷かれているのを今でも見かける機会があるかと思います。吸水性が高く、ぬかるみの防止やスリップ防止の機能があります。

  

ただ、最近では中国など海外製のものが主に流通し、国内での製造はほとんどされていないとのこと。担い手不足など理由は様々あるようですが、国内での需要そのものも減っているそうです。(と、熊本のメーカーさんが教えてくれました)

「わら」は英語で「ストロー」というように、断面が空洞の筒状となっていることから表面積が大きく、わらで編まれた筵(むしろ)は 冬には簡単に凍り、同じく凍った地表と一体になることでスリップを防いでくれる機能があります。

一方でわらは水には弱く、氷が溶けて水となるや 空洞に水が入り込んで繊維が柔らかくなってしまうため、吸水性が高い反面 破れやすいという弱点があり、昔から消耗品としての扱いが主であったようです。極端な気象が相次ぐ近年、冬にはドカ雪や凍えるほどの日もありますが、地温(地面の温度)は長い夏の影響を受けあたたかい状態を保ち、筵(むしろ)が持つ機能をじゅうぶんに発揮できるような機会は少なくなっています。

筵(むしろ)の需要が減っていったことと、温暖化(暖冬)との因果関係はわかりません。ただ、私たちがコイヤーグラウンド®の開発の過程でコイヤー繊維の特性を体感し感じたのは、この素材には近年の極端な気象変動にも耐えうるたくましさがあるということ。そして このたくましい素材を活用することで、現代の暮らしの様々なシーンを より快適にし、また災害のような有事にも役立てることができるのでは、という大きな手応えでした。

    

福井県は積雪も多く、私が幼少の頃は 通学路にもむしろが敷かれていました。こうした伝統的な製品が現代の気候にフィットしなくなってきているというのはとても残念ですが、その技術や知見は きっと私たちの製品の改良や新たな製品開発にも役立つと思っています。

施工の際に狭小地の異形(三角、ナナメ、傾斜など)を手当をするための小判の製品などは、国内製造できないかを現在 模索しているところで、筵(むしろ)だけでなく、編み縄の工芸品などに見られる 繊細な技術が活かせるのでは、と思っています。

 

色々とハードルは高いのですが、私たちが大切にしている『ジャパン・クオリティ』のさらなる深化に、先人の知恵を活かすことができればと考えています。

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